羽生選手のジャンプのどこが美しいのか

世界選手権の頃、高橋大輔さんはずっとテレビに出演して日本から解説をしていました。
高橋さんの言葉の選び方は独特でした。
どこかで聞いたような事ではなくて、自分の言葉で話しかけてくれました。
そして選手がジャンプを跳ぶときには、視線を上に向け、着地するとうなずいているようでした。
選手と一緒に呼吸を合わせて、リズムを取り、一緒にジャンプを跳んでいるのでした。

羽生選手のジャンプのどこが美しいのか、と聞かれた彼はこう答えました。
「足がすっと伸びてクロスしたままジャンプしていること」

このシンプルな答えは、ずっと私に残り、羽生選手のジャンプを繰り返し見るたびに、深く響いてくるように感じました。
さまざまに解析され説明つくされたはずの羽生選手のジャンプの美点を、このひとことで見事に言い当てている、本質をついていると思いました。


空中へ跳び上がる、まばたきする間もない瞬間のうちに、彼は身体を細くまっすぐに引き締める。
一本の軸のもとに姿勢を保ったまま、流れるように回転していく。
すらりとしたその両脚は、しなやかに交差され、すき間なく美しく絡められている。
力を込めて真直ぐに伸ばしているようにも、自然のなすがままに抵抗せず、ただすっとそこに置いているようにも、どちらにも見える。
それは、ほっそりとしたマーメイドのかたちのようだ。

両脚のさきには銀色のブレードがXの字形を造っていて、氷のかけらを散らせながら光を反射し、回転している。
それはまるで折りたたまれた翼のように、沈黙したまま、着氷と制動の瞬間をただ待っている。
成功か、失敗か、運命は自ら切り開かなければならない。
いったい彼はどんな感覚で、その重さを感じ取っているのだろう。


離氷、飛翔、回転、着氷、それぞれの動作が、明確に、しかもなめらかに展開され、緊張と解放との見事な対比を形作ります。
離氷直後からすっと伸びて交差した両脚は、細くてまっすぐな一本の軸を彼のジャンプにもたらし、息をのむような端麗さを与えます。

その美の至福が、これから先もずっと、彼のもとにありますように。



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「小さなポイントが大きな結果へ作用する」

SPの滑走順・最終グループは、
日本時間の31日(木)10:51開始予定。

25 宇野昌磨
26 ハビエル・フェルナンデス
27 デニス・テン
28 パトリック・チャン
29 羽生結弦
30 マキシム・コフトゥン

神の見えざる手が動いたかのような順番です。
籤を引くとは神意を問うという意味もあるのでしょう。
それだけの大勝負が始まるのですね。

ボーヤン・ジン選手は第4グループなので、
10:23分開始予定です。


昨日はお見舞いくださってありがとうございました。
今日は、ほんとうに体調がよくないのか、
それとも決戦を前にして熱にうかされているだけなのか、
自分でもよくわからない(^^)
テンションはいつにもまして変だけど強行するのでよろしくお願いします。


高橋大輔さんの「すぽると」出演を初めてみました。
羽生選手の演技を見つめる高橋さんの表情はアスリートでした。

「彼は頂点と言っても過言ではない選手だと思うんですけれども、
あとはもう、お手本がないところを創造して行かなければいけないわけで」
「未知の世界を探っているという所、その、
創造力の強さっていうのを彼は持っているのかな」
「それが進化につながっているのかな」

すぽると160329

「現役を引退するまでは満足しないと思います彼は」
「シニア初デビューの時、会うたび、ワンシーズンの中で、
どんどん新しいものができるっていう印象を受けて」
「正直びっくりしましたね。恐ろしかったです」

ハイレベルなワールドは
「小さなポイントが大きな結果へ作用する」

4Tを4Sに変えることで得られるポイントはわずかでも、
その挑戦には大きな意味があり、
もしかしたら歴史を書きかえることにつながるかもしれない。

…やっぱり、熱にうかされるかも。
選手のみなさんの努力が実を結ぶ、
素晴らしい試合でありますように…!




画像はこちらの動画からお借りしています。ありがとうございます。

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「情熱大陸」

小塚さんの引退発表から、いろんなことを考えている間もなく、
世界ジュニア選手権が始まっていますね。
高橋大輔さんは世界選手権から、ナビゲーターとして出演するという。
それぞれの道が交錯する春を感じます。

1月から世界選手権直前までを取材するという「情熱大陸」。
トロントでも元気そうで、ジャンプも決まっているようでした。

織田さんは「プレッシャーをかけるわけではないけれど、4Loに挑戦してほしい」と言っていました。
四大陸でのチャン選手やボーヤン選手の演技を見て、
羽生選手自身はおそらくもう決意しているのだろうと思います。

一年のうち、トロントにいるのは、実際はそんなに長くはないようですね。
この二週間で、よいコンディションが整いますように。


試合中、ホテルを出て横断歩道を渡るだけでも、たくさんのファンがついてくる。
ホテルの中でも、エレベーターの前でファンに囲まれてしまった、と聞きました。

それをまた、取材するカメラとマイクが追いかける。
ときには隠し撮りをするカメラも彼についてくる。

たくさんの人に見られていて、自分が消えてしまうように感じる時、
それを孤独だと思うのかもしれない。

自分の出した高得点に向い合う時、それもまたたったひとり。
彼の最終目標は平昌優勝だから、そのための道を究めるのもまた、
孤独な事だろうと思います。
楽しくて、でも辛くもあるのがスケート、本当にその通りなのでしょう。



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NHK杯のフラワーボーイ

久しぶりに、高橋大輔さんファンの友人にメールしてみました。
「スターズオンアイスが4月にあるんだって?
大ちゃんも出るみたいだけど、行くの?」

すぐに返信がありました。
「それは知らなかった~!教えてくれてありがとう、本当にうれしい!」
「でも今回はちょっと無理かも…次に何かあったらよろしくね!」

私はクリスマスオンアイスの感想を送りました。
「前衛的な絵画のようだった。
ツリー・オブ・ライフの映画そのものだった。」

ものすごく喜んでくれたので、連絡して本当によかったと思いました。
でも、高橋さんが遠くへ行ってしまって、なかなか帰ってきてくれない、
その寂しさから、まだ立ち直れていないようでした。


羽生選手がファイナルで優勝したすぐ後、キス&クライで英語のインタビューに答えていました。
「僕は子供の頃、NHK杯でフラワーボーイやフラッグスケーターをやっていて、プルシェンコやジョニー・ウィアー、アレクセイ・ヤグディンのようなスケーターになりたいと夢見ていました。だから、決して、スケートをあきらめないでください。そして夢を追いかけてください」

2007年のNHK杯で高橋さんの演じる「白鳥の湖」。
こちらの動画に、KOSEとDAKSとの間から顔をのぞかせる羽生選手が映っている、と思います。

このヒップホップの「白鳥の湖」は、上品なバレエへのアンチテーゼとでもいうのか、それはもう徹底的にワイルドです。
貴族のスポーツであるフィギュアスケートへの挑戦です。
それなのに、なぜでしょう。
ブレードはいとおしむようにそっと氷に触れ、撫でるようにやわらかく、足元は優雅に、氷と対話しているかのようです。

子供の頃、フェンスの上に一生懸命に首を伸ばして、こういう演技を見ながら、夢を追いかけていたのですね。

これからトロントへ帰ったら、トレイシーとコンパルソリーを練習すると聞きました。
今でも、これからも、夢を追いかけてゆく彼。
ファイナルで最高得点を更新した時、「ずっと練習し続けて!」と、自分に対しても言い聞かせ、宣言していたのかもしれません。



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フィギュアスケートTV・振り付けを考える

八木沼純子さん、宮本賢二さん、鈴木明子さんが振り付けについて語り尽くす「フィギュアスケートTV」。
もう、何から書こうか迷うほど、内容が濃くて面白い番組でした。
宮本賢二さんの振り付けは、
コーチからの依頼→選曲(選手・コーチの希望)→エレメンツの確認→氷に乗って振り付け。
そして、練習→見直し→試合→見直しと、試合に出ながら見直しを繰り返していくのですね。
この、試合→見直しのサイクルが、昨シーズンの羽生選手には、残念なことにできなくなってしまったのでした。

一番大切なのは、すべてのスタートとなる「選曲」ですね。
羽生選手もそうですが、選手が自分で選曲する事は少ない、と聞いていました。
でも、宮本先生の方針は、選手の好きな曲をまず優先する事のようです。
それを今、羽生選手は実行していて、それによってさらに音楽表現を深めているのでしょう。

選曲、振り付け、衣装にも流行がある、と聞くと、なるほどと思います。
脚を蹴りあげる振り付けは羽生選手もやっていましたが、それが、上半身の動きをチェックするジャッジへの対応にもなっていたとは。

鈴木明子 リベルタンゴ 2

宮本賢二さん振付・鈴木明子さんの「リベルタンゴ」。
鈴木さんは、中学生の時もやった曲だと迷いながら、結局この曲に戻って選んだのですね。
観客に向って強く挑みかかってくるような演技は、中学生の時にはできなかった妖艶さなのではないかと思います。

人気投票で1位のジェフリー・バトルさん振付・羽生結弦選手の「パリの散歩道」。
何度も見たこの演技を、あらためて「振り付け」として観ると、いかに緻密に計算しつくされ、研ぎ澄まされているのかがよくわかります。
緊張と弛緩、視線の投げかた、肩や背中で作り出すライン、けだるさの中にちりばめられたアクセントの新鮮さ。

そして宮本賢二さん振付・高橋大輔さんの「eye」。
これはもう、宮本さんの最高傑作です!
あの高揚感、疾走と急停止、ひねる身体からほとばしる情熱、その狭間のやわらかな誘惑。


最後に八木沼さんからの結論、振り付けとは。
「お互いの空気感、呼吸があって出来るもの」





画像はこちらからお借りしました。ありがとうございます。
2008 DOI リベルタンゴ

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