全日本・もうひとつの真実

昨年末にフジテレビで放送された「2015全日本フィギュアスケート選手権 Both Sides」。
こちらに動画が投稿されています。

年に一度、選手たちの人生が交錯する大舞台の、裏側にある「もうひとつの真実」。
選手それぞれの個性に光を当て、それを支えるコーチの真実に迫る、素晴らしい物語でした。


自分を「ヘタクソ!」とばっさり切り捨てる羽生選手。
たとえ勝てたとしても、自分の演技ができない自分を許すことはできない。
勝つ経験からも、負ける経験からも、多くの事を学びとっていくその真摯な姿勢は、いつも変わることがない。

厳しい先生だったという都築先生が、今は目を細めて「風格がある」と羽生選手を見つめる。
先生に合わせて膝を少し折って、子供のように笑ってその胸に飛び込む彼。
「先生もがんばってくださいね」なんて教え子から言われる、コーチにとってこれ以上にうれしい事があるだろうか。

都築先生が「全日本はわたしの人生」と言い切る、そのひと言はずっしりとした重さを持つ。
選手がやがてコーチとなり、その教え子たちがまた同じリンクで競い合い、一年間の成果を咲かせていく。
そして、選手を励まし送り出し、また温かく迎える、その繰り返しにこそ人生がある。

小塚選手が「みんなで戦ってみんなで作り上げた全日本」と言っていた。
小さいころから競い合ってきた仲間と、お互いの緊張とリラックスとを確かめ合い、讃えあい励まし合う。
毎年そんなふうにして、世界へ出て闘い抜いていくための力をみんなで分かち合っている。

都築先生と青木選手、佐藤久美子先生と浅田選手。
「あんなに魅力ある子。実力を発揮できる精神力を取り戻してくれたらこれからの人生に何か役に立つ」という久美子先生。
どの選手にも、それぞれの成果とそれぞれの課題、それぞれの涙がある。


そして引退する西野友毬選手と、コーチの樋口豊先生の物語。
天才少女と言われていた、中学生の頃のかわいらしい彼女のことはよく憶えている。
いつしかジャンプが飛べなくなった彼女を「小さい時からやってきたことを成し遂げるような形の方が、違う世界に出行くにあたっても自信となる」と諭した樋口先生の思いやり。
そして、最後の全日本で、SPに失敗して泣く彼女を、明日があるとそっとなぐさめる樋口先生。
一番滑走となったFSで、先生は「エレガントに楽しんで」と彼女をリンクへ送り出す。
そのとおり、美しい笑顔でパーフェクトな演技を見せる彼女、素晴らしい贈りものに涙する樋口先生。

選手生活にはいつか必ず終幕が訪れる。
それから先のステージは、自分自身の力で幕を開けなければならない。
青春をフィギュアスケートに捧げ、技を磨き美を究めようと追いかけた日々が、これからに続く長い人生を支えてくれますように。
誇りをもって歩んで行かれますように、お祈りしています。



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ジャンル : スポーツ

Yuzuru Hanyu Seagull

スケートカナダのEXの練習中、ひとり黙々とジャンプの練習を続ける羽生選手の姿がありました。



空いているリンクの反対側に行っては、イーグル・ジャンプ・イーグルを何度も繰り返しています。
イーグルにトリプルアクセルをはさむ、目の覚めるような美しい技には、いままでも魅了されてきました。
でも彼は、トゥループでもサルコウでも、なんでもつなげることができるのですね。

この動画につけられていた、海外の方からのコメントを引用させていただきます。

"But way off alone, out by himself beyond boat and shore, Yuzuru Hanyu Seagull was practicing."

そうか、「かもめのジョナサン」ね。
そんなふうに見えるのかしら。
ひとり群れから離れ、完璧な飛行だけを追求し続ける孤高のかもめ。
形而上学に生きる彼。


試合は終わった。
あとはもう、リラックスして楽しむだけ。
そんなみんなをよそにして、少し背をまるめて、リンクを周回し続ける。
軌道を探し当て、自分のジャンプをひたすら跳ぶ、何度も、何度でも。
そして、もしかしたら彼にとっては虚しかったのかもしれないその時間に、確かな意味を与えようとする。


「Ice jewels」という雑誌にあったエピソードを思い出します。
~ イーグルからのアクセルは、小さいころから都築先生に練習させられて、それが普通、基本の動きだった。
ジャンプが跳べなくなってくると全部イーグルからやらされていた ~


心がざわめき、曇るときには、原点にかえって自分と向き合う。
その専心が、明日への意志を呼び覚ましてくれる。
宙へと高く、美しく飛び出す勇気を授けてくれる。
この時彼は、イーグルとジャンプとを繰り返しながら、子供時代、厳しい師の教えを受けて、世界を夢見た日々に戻っていたのかもしれない。





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都築章一郎先生の50年

羽生結弦ら一流選手を育てた名伯楽 都築章一郎の「本物」を追求した50年
佐野稔、五十嵐文男、長久保裕、無良隆志。
井上怜奈、川口悠子、高橋成美。
そんな名前が続々と出てきて、もうそれだけでも、都築先生の50年がうかがい知れます。

佐野さんを厳しく、時間をかけて指導した経験が、羽生選手の指導へとつながっていったのですね。
そしてその経験が今、青木祐奈選手の指導に生かされている。
「指導を継続できる自信、燃えるものを羽生が作ってくれました」

小学4年生の羽生少年と、初めての大きな大会に彼を送り出す都築先生。
「これまでで一番印象に残った試合」だと言った羽生選手の発言は、都築先生にも届いたでしょうか。

2004 All Japan Novice B 1

けっこう荒っぽく、プルシェンコカットの頭をポンポンして褒めてくれています。

2004 All Japan Novice B 3

うれしそうな二人。これからすごい得点が出るのですよね。

2004 All Japan Novice B 5

震災でリンクを失った羽生選手を助けてくれたのも都築先生。

2004 All Japan Novice B 10

「羽生の場合は、初めから世界に羽ばたいて、本物のスケートを作ろうと2人で話しながらやっていました」

先生は何度も「世界」「海外」そして「文化」とおっしゃっています。
「日本のフィギュアスケートを文化にしたい」という先生の夢を実現するのが、羽生選手という才能だったのですね。
優れた指導者に出会うことは選手にとっての幸いです。
指導者にとってもまた、子供の才能を見抜いて育て上げる事は、未来をつくる素晴らしい仕事なのだと、あらためて思いました。





画像は動画よりお借りしました。ありがとうございます。
2004 全日本ノービスB

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「KENJIの部屋」第2回 全日本ノービス優勝

羽生結弦選手エピソード2(後編)
これまでで一番印象に残った試合、それはオリンピックよりも、初めて出場した全日本ノービス。
ヘアスタイルはプルシェンコさん、衣装はヤグディンさんの「Winter」のよう。
恐るべき子供、それは小学4年生の羽生少年です。



「試合が楽しくて楽しくて仕方なくて、その頃の練習量もすごかったので、もうミスをするという気配すら感じなかったですし」

2004 ノービス 1

「小学校4年生ながらに、絶対勝てると思ってたんですよ」

2004 ノービス 2

「びっくりして、これ世界選手権で戦える、とかちょっと思ってたんですよその時」

2004 ノービス 3

羽生少年の運命を啓示したのかもしれない、4番ジャッジのプレゼンテーション5.1。

2004 ノービス 6

7歳から将来を見通し、人生をスケートにかけると決意した羽生選手。
その目標をつらぬく冒険が始まります。
「人生設計がだいたい変わってないんですよ小学校の頃から。で、そのとおり動いてるんですよ今」

賢二の部屋

「ソルトレイクのオリンピックを見た時に絶対金メダル獲ってやるって思ったんですけど、それが7才とかなんですね。その時からずっと思ってましたもん。19才のオリンピックで優勝して、もう1回オリンピックに出てもう1回優勝する、っていうのが僕の今までの人生設計で、絶対に次のオリンピックで2回獲って、2回獲ったらそれはもう伝説的になるから」

賢二の部屋 21

「絶対金メダル、獲れるとは思ってなかったんですよ。獲れるとか獲れないとかじゃなくて、獲ってやるって気持ちが誰よりもあったと思います」
「もう一個。狙いますね。狙わないと意味がないですよね。だってそれが今スケートやってる一番の大きな理由だと思うので」


金メダルを獲ってやる、そしてもう一個狙う。
それがスケートをやっている最大の理由。
羽生選手のアスリートの魂は、子供の頃からずっと、そこにこそあるのでしょう。







画像お借りしました。ありがとうございます。

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「あさイチ」part1「完璧な演技を基本的にしたことがない」

あまりにも内容の濃い番組でしたので、スケートについて話した部分を中心に少し聞き取ってみました。

ジャンプを跳んでいる時に考えている事は・・・
「跳ぶ前はわりとフォームであったりスピードであったり、助走の時の歩数とか決めているし、そのジャンプのタイミングとかも決めるんですけど、跳んでいる時は無心です」

あさいち 2

「フォームであったりとかは注意するんですけれど、割と自分を客観視しているというか、周りから見てどこがずれているかとか判断しながら、または自分が一番きれいに跳べている時の、こういう社会なので、映像がいっぱい残っているので、そのイメージを重ねてどう違うか」

あさいち 3

「跳んだ瞬間にだいたいわかります、こけるかこけないか。」
「とりあえずはその、受身みたいな形では、滑るので、ある程度衝撃は間近には来ないですね」

子供時代、都築先生のお話から・・・
練習の集中力は「5分、まあ自分は10分くらいだと」「10分、15分で飽きてました」

あさいち 4

「試合大好きでしたね」
「あのおっきなリンクで、ちっちゃいからこそよりおっきく見えるんですね。あのなかで、一人で滑って、みんな自分のことをみてくれるじゃないですか。多分その感覚がすごい好きだったんですよね。まあ弟だからっていうのもあるかもしれないですね」

子供の頃ご両親に言われたことは・・・
「好きでやっているかいないか」「ほんとにあなた好きなの?」
「自分の気持ちどうのこうのでやっているのではなくて、やらされてる感じがあると、練習に行く態度も試合に出る態度も、試合すらも好きじゃなくなってきちゃうと思うんですね」
「特にフィギュアスケートってお金のかかるスポーツで、大変だったので、姉もやっていたので、そんなに家計も、やりくりするのが大変でしたし」

あさいち 5

いい演技をしたけれども2位だったりしたら・・・
「僕は完璧な演技を基本的にしたことがないんですよ、小さいころから」
「ショートはよかったと思いますけれども、まだ改善点が自分のなかではあって、まだできるまだできるっていうのが常に自分のなかにあるので、完璧やって2位って、満足したっていう気持ちがまったく芽生えた事はないです」

ダンス、腕の表情について・・・
「けっこう一時期ジャンプ、ジャンプっていうふうになってしまっていた時期があったので、オリンピックのチャンピオンにもなれましたし、もっともっと、表現という面で進化しなくてはなとは、今すごく思っています」


小さな体をいっぱいに広げて、大きなリンクの真ん中にひとり立つ羽生少年。
みんなの前で輝く感覚を味わった事、そして「弟だから」という客観的な自己分析も、羽生選手らしいな、と思いました。

そして「完璧な演技を基本的にしたことがない」「満足したっていう気持ちが芽生えた事はない」という、果てしのない向上心。
はるかに高い理想に届かない自分を悔しがり、留まるところを知らない願いに駆り立てられている彼。
清々しく澄みきった眼差しで、静かに響く美しい声で、夢への届かなさに傷つき、さらにまた立ち向かう自分をあばいてみせるなんて。
常に自分と戦い続けている、アスリートの強さ、美しさを、羽生選手にいつも見出します。








画像はこちらの動画からお借りしました。ありがとうございます。

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