花になり花を咲かせるスピン ※追記しました

先日の「KENJIの部屋」第4回 「花になれ」で、ラストのスピンについて、宮本先生の教えから学んだという羽生選手の発言。もう一度引用してみます。

~EX「花になれ」振り付け秘話
「だけど、それ、縮まないんだよ、花咲いてないじゃんて、つぼみじゃんそれ、っていう事を(賢二先生に)言ってもらって」
「結局最後たぶんバックスクラッチで終わろうとしてたんですよね。でも最後トンプソン(?)で、手開いて。ってすごい言われてて」
「例えばパンケーキとか、(足を膝に乗せる動作)これもすごくちっちゃくなっちゃう。もっと大きくなって、って言われたのを非常に残っていて、それからですね。その曲に合わせて、自分の得意な動きをするのじゃなくて、曲に合わせて振付をしようって」

この時「トンプソンって何だろう?聞き間違えたのかな」と思っていたのですが、こちらのメイさまのブログで、その謎を解くことができました。
自分の得意な技を使うのではなくて、曲を生かし花になるようにと選んだのがトンプソン。

24時間TV「花になれ」 5

バックスクラッチは、フリーレッグを軸足の前側で、トンプソンは後ろ側で交差させます。
だからふわっと花が開くように、外に向かって広がっていくように見えるということでしょうか。

そしてパンケーキスピン。

全日本EX“花になれ” 3

回転しながら大きく動いて、花が開くのを表現していたのですね。


いろんなことが記憶に残っていないのであるらしい宮本先生は、「花になれ」というプログラムについてだけ指導し、振付けたつもりだったのかもしれません。
でも、誰かが何気なく発した一言を天の啓示のように受け止めて、理想のスケートの扉を開く鍵を手に入れてしまう羽生選手です。
得意な技を見せるために滑るのではなくて、曲を表現するために技を選ぶのだという発想。
彼の直感力、豊かな想像力、その柔軟さには、いつも驚かされてしまうのです。


※追記です
「花になれ」のバックスクラッチスピンを見つけました。
名古屋スケートフェステイバルでの画像です。

名古屋 花になれ







メイさまに感謝して紹介させていただきました。
ありがとうございました。
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I'm proud of ...

「KENJIの部屋」はもしかしたら、2012-13年のNHK杯や全日本の初優勝については触れないのかも?
と思いながら、その頃の動画を見ていました。
2012年、スケートアメリカのSPでの素晴らしい演技のあと、羽生選手を迎えるオーサーコーチはこんな雰囲気です。

SA2012 Yuzuru HANYU SP 1

遠くて解りにくいのですが、これから世界最高得点が出るというのに、さっと軽くハグして終わる二人です。
そんな高得点が出るとはまったく予想していなかったのがよくわかります。
そして、プーさんがいません。
演技の前にはちゃんとリンクサイドにいたはずのプーさんはどこに?

でも続くFSでは、コーチはちゃんとプーさんを抱えて迎えに来てくれています!

SA2012 Yuzuru HANYU FS 1

なのに、あまりにがっかりし疲れた羽生選手は素通りしそうになってしまい、コーチに心配そうに話しかけられています。

SA2012 Yuzuru HANYU FS 2


ところが、それからひと月ほど後のNHK杯では、羽生選手とコーチの距離が近づいたのがはっきりとわかります。

2012 NHK SP 1

うれしそうに、自分から手を差し出して

2012 NHK SP 2

思い切りコーチの腕に飛び込んでいくハグ。

2012 NHK SP 3

はじけるような笑顔でアイコンタクトをかわします。

2012 NHK SP 4

プーさんをコーチに渡して持ってもらう遠慮のなさ。

2012 NHK SP 5

ハビエル選手も応援してくれていたのですね!

2012 NHK SP 7

わずかの間にコーチとの間に信頼が育ち、クリケットクラブの仲間として溶け込んだのがよくわかります。
そしてこの時、コーチは so proud of you ! って言っていますね(多分)
オーサーコーチは羽生選手を褒める時、それから何度も何度も、 I'm proud of you ! と言って、一緒に喜んでくれるのです。


そして2015年、国別選手権のFS、最後の「オペラ座の怪人」の演技を終えて。

WTT2015 Yuzuru HANYU FS 3

リンクを後にする羽生選手の視線の先には、左腕にプーさんを抱えて彼を待つコーチの姿。

WTT2015 Yuzuru HANYU FS 5

WTT2015 Yuzuru HANYU FS 4

まっすぐに、その腕に飛び込んで行きます。

WTT2015 Yuzuru HANYU FS 1

長い長いシーズンを、最後まで戦い抜いた羽生選手を支え続けてくれたコーチ。

WTT2015 Yuzuru HANYU FS 6

世界選手権で、あと一歩に迫りながらハビエル選手に負けた事に、悔しがりの愛弟子がどんなに傷ついているか、オーサーコーチにはよくわかっている。

WTT2015 Yuzuru HANYU FS 2

だから、その時彼はこう言って、コーチへの深い感謝を伝えたのです。
I'm proud of me !! 






画像は以下の動画からお借りしました。ありがとうございます。
2012 スケートアメリカ・SP
2012 スケートアメリカ・FS
2012 NHK杯・SP
2015 国別対抗戦・FS

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「あさイチ」part5・「SEIMEI」に挑む・その1

「陰陽師」のテーマが聞こえると、「おっ」と反応し、4回転を3回跳ぶ、という解説に頷く羽生選手。

あさいち 16

DOIの「SEIMEI」の演技には、全然だめでしたと残念そうに
「ショーのリンクだったので、小さくて、普通のコースではあり得ないジャンプの跳び方してるんです」

あさいち 17

アリーナ席はお値段が高いだけではなく「氷の温度が上がって溶けたりするんです」
「4回転をやるのは特に難しい」「いい所だけ取ってあります。だから12秒」

あさいち 18

そして、今シーズン、「和」をテーマに選んだことについて詳しく話してくれました。
「世界選手権があって、もう1試合あって、本当だったらその試合のときに、もう来シーズンのことを考えなくてはいけないんですね」
「だいたい自分がどういう曲を滑りたいっていうのを決めていて、でもう振り付けの段階まで入っていかないといけないんですけど」
「それがちょっと遅れちゃったので、わりとテンパってて、世界選手権が僕の中でものすごく悔しくて全然だめだったかったからこそ、次の試合でいい演技ができて若干の燃え尽き、軽い、やっと終わった、っていう感覚があって」

あさいち 19

「やっぱり激動すぎたので今シーズン。だからなんか、ふっとしたときに、何がいいかなっていろいろな意見はいただいてたんですけど、何かうまくはまらなくて、インターネットで、いろんなものを本当に楽曲もいろいんなものを聞いたり、触れたりして調べたりしている中で、今シーズン、和でもいいなかって」
「最初のきっかけは大河ドラマの音楽を聴いたときに、あ、和っていいなって思ったのがきっかけでした」

あさいち 20

「やっぱりプログラムに合っていないとだめなので。例えば今流れてるこのね、音なんかは、この映画のメインのパートなんですけど、このパートを聴いたときにはぱっと自分滑っているのが浮かんだんですよ、いいなあ、この曲いいなあって」
「けどいざ、僕編曲にもちょっと携わったんですけど今回、初めてなんですけど、いざいろんなサウンドトラックから拾ってきて編曲するんですけど、全然合わなくって」

あさいち 21

「基本リズムが和で構成されているのでゆっくりなんですよね。フィギュアに合わないところがあったりもして、そこの感覚難しかったですね」


身振り手振りを駆使しながら、一生懸命に説明する羽生選手。
長くなったので、2つに分けて掲載します。

世界選手権から国別対抗戦へ、その間には、表に出せないあせりがあったのですね。
燃え尽きた気持ちが少しあったことも、もちろんそれらは、今だから言える事なのだと思います。
大きな試合に勝つこと、それだけを一心不乱に目指すことはなかなか難しく、葛藤は常にあるのでしょう。

羽生選手はたくさんのテレビ番組に出演し、たくさんのインタビューを受けています。
けれどもこのように、生放送で、カットも編集もなく、自分の言葉で話せる機会は、ほとんどないと言っていいと思います。
もちろん、番組構成上の制限はあるにしても。
だからこそ貴重な時間を割いて、精いっぱいに話し心を込めて伝えようとしたのだと思います。
本当は、練習がしたい練習がしたい、それがいつも一番なのに。

ですから、この長い発言を、できうる限りに聞き取って文字に残したいと思いました。
過去の事は何度も何度も話し、秘蔵映像ももう秘蔵ではありません。

羽生選手が今知ってほしい事があるとしたら、それは新しいプログラムにかける意気込みなのだと思います。
彼も、まだ誰も、体験してはいない、未来への挑戦。
それが何よりも大切な事なのだと思うのです。






画像はこちらの動画からお借りしました。ありがとうございます。

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「あさイチ」part3・ファスナーの美学 再び

あさいち 11

「試合用は照明が当たらないこと前提で」
「白のデザインだと上から見たときとかリンクと同化しちゃうので、その同化をしないためにどういう工夫をしていくか」
「基本僕は下は黒ですね」

あさいち 8

このように身体がやわらかいので、後ろファスナーの衣装は自分で

あさいち 9

「こう行って、あとは衣装引っ張って、こうやって、グッ!て」

国別対抗戦 2015


あのファントムのファスナーの美学の再現を、何とも爽快にやって見せてくれました。
こういうの当たり前なんですよと言わんばかりに、潔く体育会系をつらぬく羽生選手の後ろ姿。
バックルームのカメラは邪魔だけれど、そんなものに集中をそがれたりしない。
目の前の試合の事、試合に勝つこと、それだけしか考えていない。
だから、グッと、ファスナーは容赦なく持ち上げられ、戦闘態勢を完成させるだけ。


彼の演技をいろどる華麗な衣装。
でもその緻密に計算された美しさは、もちろん、彼のスケートを引き立てるためこそにあるものです。

そしてもしかしたら、彼自身の美しく整った姿かたちさえも、そのためにだけ与えられているのかもしれません。
だから彼は時として、スケートのために自分を酷使し、痛めてしまうのかも、しれません。






画像はこちらの動画からお借りしました。ありがとうございます。

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唯一無二の存在



先月発売された「ワールド・フィギュアスケートEXTRA 世界国別対抗戦2015特集」。
オーサーコーチのインタビューのあまりの濃さに、なかなか記事にすることができませんでした。
2014-2015シーズン全体を振り返った、オーサーコーチへのロングインタビュー、そして各試合ごとへのコメント。
特に世界選手権については、羽生選手とハビエル選手の「素晴らしいスポーツマン同士の戦い」と言ってくれています。
アスリートとして、人間としての羽生選手を讃えて、とても感動的でした。

羽生選手の困難と不在とは、トロントで練習するハビエル選手やナム選手へも大きく影響したのですね。
遠くにいてもみんなで気遣いあっていたのだ、と思いました。
「チーム・ブライアン」が書かれた頃よりも、もっとずっと、チームの絆と理解とが深くなっているような気がしました。

現実的な問題として、母国で注目と喝采を浴びる事の大きさについての指摘が興味深いと思いました。
ハビエル選手は、スペインでのファイナルのSPで舞い上がってしまった。
でも、アメリカ、カナダ、日本の選手は、その圧倒的な雰囲気のなかで成長しており、大舞台に慣れている、と。

それから、パトリック・チャン選手の復帰について、容易な事ではないが、「三人のボーイズにこれ以上練習させる唯一の方法」だと。
チャン選手は、世界選手権のフリーを早送りしたとか、パパダキス組が素晴らしいとか言っていましたよね。
そんな発言もオーサーコーチなら、親切なヒントとして、よい方向への起爆剤として使ってしまうのかもしれません。

そして面白かったのはナム・ニューエン選手のインタビューです。
とても賢くて強気な発言は、羽生選手のジュニア時代を思い出させました。
最高の環境で伸び伸びと成長している彼、将来が楽しみです。

羽生選手の写真では、小さいけれど、客席にポールを投げ込んでいるところがよかった!
かつて野球少年だった彼の真剣な投球フォームに、これは「本気のゆづ」だなとほほえましく思いました。


そしてオーサーコーチの発言、「まったくの健康なシーズンだったとしたら、恐らく、退屈なシーズンになっていたのではないかとすら思います。彼はオリンピックチャンピオンとして唯一無二の存在になってしまっていたかもしれない」という言葉の重たさです。
もし、健康だったら、4回転をフリーで三回入れる構成だったのです。
プログラムは「バラード第1番」と「オペラ座の怪人」です。
それが「退屈なシーズン」だとは、なんと厳しい、穿った、師の言葉でしょう。

誰も勝てない、別次元の絶対的な存在、孤高のオリンピックチャンピオン。
たったひとりで多くを背負う一方で、勝つことがあたり前ならば喜びは薄くなる。
そのアンバランスは、じわじわとアスリートをむしばんで闘争心を失わせ、いつか彼から牙を抜いてしまうかもしれない。
さらさらとできてしまう、するすると勝ってしまうことの怖さに、ぞっとさせられるような一言でした。

中日体育賞

こういう顔で、こういう目で、いてください。




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