「和」と「SEIMEI」

DOIで新プログラム「SEIMEI」についてインタビューに答える羽生選手。
彼はこれまで何度も「SEIMEI」について話しています。
でも注意深く聞いていると、「安倍晴明」や「陰陽師」については、何も説明していません。

彼が語るのは、あくまでも「和」「日本」そして「日本人」、その誇りです。

「すごく自分って、わりと日本人らしい顔だちをしているし」

DOI2015 SEIMEI

「日本人らしさというかそういうものをすごく大事にしようとしているんですね」

DOI2015 SEIMEI

「生活の中でもそうですし、今海外を拠点に練習もしていますけれども、その日本人らしさ、日本人としての誇りみたいなものをすごく大事に生きているつもりなので」
「今回はほんとにほんとにほんとに「和」に忠実なものをやってみたいなと思いいろいろ探してここにたどり着きました」

DOI2015 SEIMEI

「非常に大変なプログラムではあると思うんですけれども、実際これ、今回滑るものは1分半ぐらい短くしているものなのでもっと盛りあがるパートだとかもっと楽しんでいただけるパートもあると思うんですね。」

DOI2015 SEIMEI

「日本人としての羽生結弦とスケーターとしての羽生結弦が、うまく融合したようなプログラムになればそれがまたオリジナリティじゃないけれどもSEIMEIという作品がうまく機能するんじゃないかなというか」

DOI2015 SEIMEI

「ジャンプだけじゃなくてその曲が持つ、または自分の持つ疾走感であったり、そういう日本らしさを出せればなと思います」

DOI2015 SEIMEI


何度も何度も、「日本」「日本人」「和」と強調しています。
それを表現するための題材として、映画「陰陽師」とその音楽を探し当てた。
それは、「オペラ座の怪人」を演じたくて演じたのとは違う動機である、ということだと思います。
あまり陰陽師や安倍晴明にとらわれ過ぎると、少し間違ってしまうのかもしれません。
彼が世界に向けて知らしめたい「和の心」を、もっと見つめたい、と思うのです。

そして、日本人の振付師ではなく、あえてシェイ=リーン・ボーンさんに依頼し、能や狂言を研究したというところ。
これまで、西洋の音楽と一体となり、何の違和感もなくロミオやファントムを演じてきた彼です。
そんな彼がスケートにのせて、日本の美を世界に向けて問う挑戦、だから「SEIMEI」とした。
世界で戦い続けてきた彼が、日本人としての自分を見極めようとする作品なのかもしれません。

DOI2015 SEIMEI

こんな烈しい顔をしていたのですね。
天平の阿修羅をはるかに超えています。
金剛力士かと思いました。




画像はこちらの動画からとらせていただきました。ありがとうございます。
スポンサーサイト



テーマ : フィギュアスケート
ジャンル : スポーツ

狩野永徳の細い枝

狩野永徳の国宝・檜図屏風。
羽生選手の「オペラ座の怪人」を見ていると、この絵を思い出してしまうのです。

狩野永徳

堂々とした幹に対して、細く伸びた枝。
でも、細くて頼りないはずのその枝が、とても力強く生命力を持っているように見える。
それはなぜだと思う?と、友人が私に聞いたのです。

わからない、と答える私に彼女は言いました。
「一度、逆の方向に張り出してから、曲線を描いて戻り、大きな動きを出しているから」

彼女も特に美術の専門家ではないので、それが本当かどうかはわかりません。
でもその言葉はずっと私に残り、羽生選手の「オペラ座の怪人」に重なって思い出されるのです。

羽生選手はこの「オペラ座の怪人」で、「weight」「重さ」を見せたかった、と聞きました。
シェイ=リーン・ボーンさんは、その願いを、どう実現させてくれたのでしょうか。

[広告] VPS

Leave all thoughts of the life you knew before!
Let your soul take you where you long to be !

例えばこのシーン。
"the life" で、左脚に体重を乗せて一度左に体を振ってから右に戻る、ウェイトシフトというのですよね。
"before!" と "Let your " の間も力強くステップを踏み大きく腕を廻して音楽を表現しています。
" soul" では右脚を強く大きく上に蹴り上げ、顔も上に向け伸びあがるように。
"take you" ではランジというのでしょうか、逆にぐっと下方に沈み込み、両腕を強く振って何かを叫んでいるようです。
それからまた体を起こし、バックスクロスして向きを変え、長い不動の滑走をしながら手でその感情をつかむ。
音に合わせて疾走する3A+1Lo+3S。


華奢な体の羽生選手が、屈折したファントムの心情を重厚に演じあげるための振り付け。
成熟した技術が見せてくれる奥行きの深さ。
細くて頼りない枝は、しなやかにたわみ伸びて、風雪に耐えて折れる事がありません。

ファントム

彼の演技が発する力強さ、ファントムという人間像の表し方を、もうすぐまたあたらしく味わえる。
それは無上の喜びです。


人気ブログランキングへ
画像感謝してお借りしました

テーマ : フィギュアスケート
ジャンル : スポーツ

「オペラ座の怪人」羽生結弦選手が目指したもの

「オペラ座の怪人」を振付けたシェイ=リーン・ボーンさんへのインタビュー。
たらさんのブログで訳してくださったので読むことができました。
ありがとうございます。

オペラ座の怪人

羽生選手は、自らの意志で積極的に「オペラ座の怪人」を選曲したのだという事。
本当は、オリンピックシーズンにこの曲をやりたかったのだ、という事。

「彼は自分が何をやりたいかについて、とても強い意志を持っているということ。
このことが、なぜ彼がチャンピオンになれたかを物語っていると思うの。
多くのスケーターはそこまで踏み込まない。適当なところで妥協するというか、
これがしたいとはっきり言わないことが多いわ。
だから、選手が自分の望みをはっきり表明した場合には、その選手の性格がそこに現れるものなのよ。」

そうなのか!他の選手は意外に、選曲について自己主張しないのですね。

「この曲で何を言いたいの? 今季はこの曲によって、今までまだ見せてこなかったどんな面を見せたいの?ということだった。すると彼は、「自分には重さ(weight)があることを見せたい」と言ってきたのよ。」

「彼はとても軽やかなスケーターとして知られているわよね。まるで羽のよう。
無理な力をこめずにとても軽やかに滑っていく選手よ。
だから私は、彼はこの曲で成熟、重さ、スピードといったものを示したいんだな、と思ったの。
彼の軽やかさを奪うことはできないけど、これらを加えることはできるわ。
なぜなら、彼はこれまでの人生でさまざまな大きな経験を経て、成熟してきたんですもの。」

ああ、だから、ラウルじゃなくて、ファントムだったんだ。
しかもジェラルド・バトラーの、バリトンの、暗い情熱に満ち湧き上がるようなヴォーカルを選んだんだ。

今までの、若々しく軽やかな自分ではない、重厚さ、深みのある大人の魅力、精神的な成熟。
苦悩し、歪み、嘆き、それでも愛してやむことのないファントムを演じたい。

ファントム 仮面

そしてシェイ=リーン・ボーンさんは、それを見事に実現する、素晴らしい振付をしてくださいました。
もっとよくなろう、違う自分を見せようとして留まるところを知らない彼を理解し、今までになかった彼の魅力を引き出してくださいました。

彼の体調を心配し復帰を願う気持ちも、とてもよく伝わってきます。
そうなんだ、中国杯へと出発して以来、一度もクリケットクラブに帰っていないんですね。
そんなにも、長い旅になってしまったなんて。

いつも周りの人々の支えに感謝している彼ですが、本当に、素晴らしい才能を持った、心豊かな人たちに囲まれているのですね。
彼女の元へ帰って、「オペラ座の怪人」をブラッシュアップできる日を、楽しみに待ちたいと思います。


人気ブログランキングへ

たらさんに感謝して紹介させていただきました。

テーマ : フィギュアスケート
ジャンル : スポーツ

トラベリングキャメルと音楽との調和と

グランプリファイナル ラスト

「オペラ座の怪人」のラスト近く、再び仮面をつける動作の後、最後のスピンに入る前の「トラベリングキャメル」。
普通、トラベリングというと、スピンで軸が移動してしまう残念な失敗のことですよね。(チェンジエッジの場合を除いて)
スピンの最中に選手が移動していくと、カメラも一緒に移動して追いかけてくのでわかってしまいます。

でも、トラベリングキャメルはトウをつかないでスリーターンする、スピンへの難しい入り方なので加点要素。
そして、プログラムの最後にこれをやるのはとても大変な事。
ファイナルの羽生選手は1回のアラビアンの後、多分3回(2回かも?)のトラベリングキャメルからキャメルスピンに入っています。

[広告] VPS


この時音楽にはすでに歌詞はなく、ストリングスが静かに流れるだけです。
それは物語の終わりを示して深くなり、仮面をつけ孤独に還っていくファントムを表現しているようです。
でも、私の耳にはまだファントムの歌う Music of the Night がどこかから聞こえています。
そして羽生選手のターンがその音を捉えるのとともに、別れを告げる彼の声が胸に迫ってくるように感じるのです。

どのシーンを切り取っても美しい「オペラ座の怪人」の、ラストを飾るのにふさわしい演出だと思います。

人気ブログランキングへ

参考 ジャッジングシステム・ハンドブック2014/2015 版  
もちろん、実際にこの演技がどのように採点に貢献したかはわからない事です。
でも私自身が「音楽との調和」を感じた、ということでご理解ください。

テーマ : フィギュアスケート
ジャンル : スポーツ

音楽との調和「オペラ座の怪人」のジャンプそしてイナバウアー

シェイ=リーン・ボーンさん振付の「オペラ座の怪人」は、若々しく瑞々しいロミオとは全く違う、妖艶で官能的なファントムでした。

ファントム 仮面

そして素晴らしいのは、ボーカル入りの音楽を生かし、ドラマチックな高揚感のある、感動的なプログラムに仕上がっていたことです。
それは、プログラムのあらゆるところに散りばめられており、視覚と聴覚の両方から否応なく、観客を彼の演技に引き込んでいってしまうのです。

例えば、ジャンプのテイクオフ、ランディングと、音楽の高鳴りとを合わせ、見事に設計されていたこと。
ダイナミックな4Tの着地でジャーン!と重厚かつ衝撃的に。
超絶な3A+1Lo+3Sの入りでシュルルーン!と軽快かつ疾走感を持って。

全日本 ジャンプ

…思いだしただけで、もうどきどきです。
もちろん、羽生選手の技術の力が、振付の要求にちゃんと応えるからこそ、実現できる演出ですね!

そして荒川静香さんが「音楽とぴったりですね」と、とてもうれしそうだったイナバウアー。
これはルッツに続けて、It's over now the Music of the Night という歌詞のアクセントを拾う、という圧倒的な演出です。
the に続いて、力強く組まれ頭上に伸ばされる両腕。
それが翼のように大きく拡げられ解放される Night。
氷上に描かれる美しい弧の軌跡。
それらのすべてが一体となり、ファントムの感情を表現しています。

[広告] VPS


ルッツの着地でも音楽を見事に表現しているのがよくわかります。
なのでルッツを失敗してしまうと遅れを取りうまくつながりません

それからトラベリングキャメルもとても気になっているのですが、それについてはまた次回。


人気ブログランキングへ

テーマ : フィギュアスケート
ジャンル : スポーツ

プロフィール

yuzurufight

Author:yuzurufight
読んでくださってありがとうございました

あたらしい記事
あたらしいコメント
カテゴリ
月別アーカイブ
タグリスト

羽生結弦 世界選手権 SEIMEI バラード1番 オペラ座の怪人 NHK杯 ファンタジーオンアイス ファイナル 宇野昌磨 天と地のレクイエム オーサーコーチ 国別対抗戦 パトリックチャン 全日本 宮本賢二 野村萬斎 高橋大輔 フェルナンデス ソチオリンピック 浅田真央 織田信成 FaOI 町田樹 オータムクラシック 小塚崇彦 KENJIの部屋 全日本選手権 プルシェンコ 無良崇人 能登直 宮原知子 中国杯 スケートカナダ 陰陽師 デニス・テン 佐野稔 パトリック・チャン ナム・ニューエン 本田武史 村上大介 FaOI 24時間テレビ チーム・ブライアン ハビエルフェルナンデス ファントム アイスジュエルズ 鈴木明子 Number 四大陸選手権 パリの散歩道 ボーヤン・ジン クリケットクラブ あさイチ ビリーヴ DOI オリンピック 平昌オリンピック 都築章一郎 ガーナ 山本草太 阿部奈々美 ボーヤンジン クリアファイル 安倍晴明 フィギュアスケートTV スポーツ酒場語り亭 安藤美姫 盛岡エキシビション ジェフリー・バトル 野口美恵 手術 NHK杯 ショパン ジョニー・ウィアー 本郷理華 八木沼純子 シェイ=リーン・ボーン 荒川静香 花になれ ロッテガーナ 衣装 NHK バスクリン ブライアン・オーサー シェネル 中日賞 ロッテ DOI 樋口新葉 村上佳菜子 スケートアメリカ デニステン 磯田道史 パパダキス フィギペディア アドラー ロミオとジュリエット 4回転 ロミオ+ジュリエット 四大陸 松岡修造 世阿弥 短歌 ロシア杯 村主章枝 トリプルアクセル フランス杯 仙台 世界ジュニア 花は咲く アオーレ長岡 トロント 俳句 闘争本能 ANA COC カナダ杯 ハビエル・フェルナンデス TCC 羽生結弦語録 リスフラン靭帯 ヤグディン 悲愴 樋口豊 カナダ選手権 欧州選手権 紅白 情熱大陸 スケーティング スターズオンアイス はたちの献血 ザヤックルール ナムニューエン アディアン アイスリンク仙台 岡崎真 ジャパンオープン きき湯 トゥクタミシェワ グレイシー・ゴールド ランビエール キシリトールホワイト 井上怜奈 G2 ジュベール イーグル 劇団四季 宇都宮直子 殿、利息でござる! 本田真凛 ジョニーウィアー フィギュアスケートLife 華原朋美 コーラスライン ティモシー・ゲーブル 川畑要 ラトデニ 4Lo 白岩優奈 ツィメルマン フロー ライフ ウィルソン フィギュアスケートライフ グランプリファイナル 献血キャンペーン 本田真凜 福間洸太朗 家庭画報 ジェフリーバトル 報道ステーション ブライアンオーサー Believe 献血 青嶋正 茂木健一郎 AERA 西野友毬 朝日スポーツ大賞 無私の日本人 題名のない音楽会 バレンタイン 長洲未来 清塚信也 シェイリーン 太田由希奈 ニューイヤーオンアイス ファイナルタイムトラベラー ネイサンチェン ケヴィンレイノルズ ゾーン 

あたらしいアイテム
検索はこちらから
QRコード
QR