二匹の蛙のおはなし

NHK杯での、すべてのジャンプを成功させた素晴らしい演技について、
オーサーコーチは、実は練習ではそんなにうまくは行っていなかった、と話しています。

その、血のにじむような練習には失敗が繰り返された。
レンガを積むように、羽生選手は練習を重ねていった。
そしてあの時、何かをつかみ取ったかのような完璧さを見せた。
「それは泡立てたクリームのようだった」と、コーチは表現しています。

何か、得体のしれない液体の中でミキサーが回り続けている。
長い繰り返しの末に、ある瞬間、液体はかたちをなし、
白い雪のような頂きが美しく立ち上がってくる。

困難な挑戦を自ら選んだ弟子の、険しい試行錯誤を見守り続け、
彼がついに技と精神の真髄をつかんだときの、コーチの感動が伝わってきます。


これとどこかよく似たエピソードを読んだ事があるのを思い出しました。

二匹の蛙が二つのミルク壺の縁で遊んでいるうち、それぞれ壺の中に落ちてしまった。
しばらく足をばたつかせていたけれど、一匹はもうだめだと諦めてしまった。
もう一匹は、今できることはただ足を動かすことだと、懸命に泳ぎ続けた。
するとやがて、思いがけず、足の下が固まった。
ミルクがバターになったのだ。
その上に乗って、彼は壺から外に飛び出すことができた。

待っていても何も起こらず、現実の厳しさを変えることはできない。
現実が絶望的であったとしても、その状況を超えて行くために、
何かの行動を始め、それを続ける勇気がそこにあってほしい。


この話は、アドラーが友人に話し、やがてダッハウのユダヤ人収容所に伝えられ、
多くの人々を無気力から奮い起こすことができた、と言われています。



こちらの記事を参考にさせていただきました。ありがとうございます。
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100分de名著 アドラー「人生の意味の心理学」~2

NHK・Eテレの「100分de名著」で取り上げられた、
アドラー「人生の意味の心理学」の後半についてです。

アドラーは、人間のすべての悩みは対人関係の悩みであると言っている。
人間は、自分自身の人生を描く画家である。
承認欲求が強すぎるあまりに、他者の期待を満たすために生きてしまったら、
本当の自分ではなく、他の誰かの人生を生きることになってしまう。
自分の課題と他者の課題とを分離し、他者の課題に踏み込み過ぎてはならない。
自分の行為の価値は自分で決め、その結末を自分自身で引き受けるのが人生である。
それは、幸せになるための勇気である。
対人関係は悩み深いものだが、生きる事の幸福もまた、人と人との関係にある。

それでは、幸福になる方法とはどんなことだろう。
アドラーはそれを「共同体感覚」と呼んでいる。
他者を仲間とみなし、そこに自分の居場所が見つかれば、
仲間たちのために貢献しようと思える。
その共同体とは、家族にはじまり、広くは社会、人類、宇宙の全体にまで及んでいる。
人生の意味は全体への貢献である。
人は全体の一部であり、全体とともに生きている。

自分で自分の課題のために行動し、自由に生きるようとすることは、
もしかしたら他者に受け入れられないかもしれない。
その時は、嫌われる勇気を持って、もっと大きな共同体への貢献を探ればよい。
人生の意味は、あなたが自分自身に与えるものだ。

自分を受け入れ、短所を長所に置き換え、長所を生かして他者に貢献する。
他者を仲間だと信頼し、誰かの役に立っているという貢献感が、人間の幸福である。
自己への執着を他者への関心に切り替え、自己と他者を常に勇気づけていく。

その勇気づけのためのキーワードが「ありがとう」である。



アドラーの本を読み、その言葉を聞いていると、
いつも、羽生選手のことを思い出します。




さて、「100分de名著」の次回からは、磯田道史先生が登場されています。
これもひとつのシンクロニシティと言うべきでしょうか。
…あ、それは、ユング心理学のほうでしたね!

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100分de名著 アドラー「人生の意味の心理学」~1

NHK・Eテレの「100分de名著」で、アドラーの心理学を取り上げていました。

アドラーは子供の頃、病気のために思うように動くことができなかった。
それは、彼が医師となることの動機でもあった。
ウィーンで、プラーター遊園地の近くに開業した。
そこで、空中ブランコ乗りや軽業師を診察するうち、彼らの多くが、幼い頃に病弱だった事に気がついた。
彼らは、身体の弱さを努力によって克服し、逆に活かして強みに変えていたのだった。

このエピソードに、子供の頃から身体が弱かった羽生選手の事を思いました。
心肺機能が弱くスタミナがないと言われていた彼が、長いあいだ努力をかさねながら成長してきたことを。
はるか遠い目標へと歩み続けることで、克服する以上の大きな夢をかなえてきたことを。


「自分自身を好きになれない」と、劣等感に悩む人は多い。
けれども劣等感は、人生へと立ち向かう力を生み出すことができる。

その「劣等感」とは、他の人と比べて自分が劣っていると思うことではない。
他の誰か、ライバルと競争して勝つこと、他者との関係を言うのではない。

自分自身の理想と目標に対して、今現在の自分が届いていないと感じることである。
そのような劣等感は、勇気を持って今の自分を前へと歩ませ、努力によって課題を乗り越えていく原動力となる。
理想の自分を追い求める事、「優越性の追求」は、劣等感と裏腹である。


羽生選手は決して、自分の体調のことを言いつのったりはしません。
黙って、自分の力で向き合い、乗り越えてきました。

もし、勝つことだけが目標なら、ソチのオリンピックで彼は最高に満足だったはず。
けれどもそうではなく、その勝利から彼はまた次の目標を見い出しました。

そして今もまた、自分が理想とするスケートへ向けて、努力を重ねています。
記録も記憶も、技術も芸術も、あらゆる面での完璧を求めています。
330点もまた、彼に次の理想を与えるでしょう。

「すべての人を動機づけ、我々が我々の文化へなす、あらゆる貢献の源泉は、優越性の追求である」



NHK「100分de名著」アドラー「人生の意味の心理学」

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